CTOとグローバル採用責任者が語る、エンジニア組織グローバル化に向けた取り組み

2022/09/15

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マネーフォワードでは、組織・人事のグローバル化を急速に進めています。

現在、その中心になっているのは、エンジニア組織。今では、エンジニアの約3割がNon-Japaneseメンバーとなり、2024年度中に、エンジニア組織の公用語を英語化する予定です。

「何のためにグローバル化を進めてるの?」
「具体的にどんな取り組みをしているの?」

そんなお話を、CTO 中出さんグローバル採用責任者 保科さんに、お聞きしてきました。

マネーフォワードのグローバル化の、今とこれからを、お伝えさせていただきます!

中出匠哉さんと保科岳志さんの対談画像_1

「グローバルテックジャイアント」を目指して。これまでの取り組み

ー まずは、これまでの取り組みを「海外拠点設立」と「採用」で振り返ってみました。

海外拠点と海外採用の変遷画像

ー こうして見ると、2018年が起点になっていますね。中出さんは、マネーフォワードのグローバル化について、いつから考えられていたんですか?

中出:マザーズ上場(2017年9月)の頃ですね。「マネーフォワードのサービスは世の中に必要とされている。日本国内だけでなく、世界を見て成長していけるはずだ」 という実感を持って、動き出しました。

グローバル化といっても、色々な切り口や段階があると思いますが、私たちが目指しているのは、「グローバルテックジャイアント」です。

イメージとしては、GAFA(Google、Amazon、Facebook(Meta)、Apple)のような企業ですが、テックという視点で見ると「技術を生み出す側」であることがポイントになると思います。前例のない新しいサービスを創りだす組織は、そのための新しい技術も自ら生み出しています。例えば、AmazonのAWS(Amazon Web Services)なんかもそうですね。「必要は発明の母」と言いますが、今ある技術を使い切った先の技術を発明しているのが、これらの企業の共通点です。

最終的には、私たちのサービスが広く世界で使われること(事業のグローバル化)が、ひとつのゴールになると思いますが、そのためには、世界中から飛び抜けた技術者が集まる、グローバルテックジャイアントを目指すことが、必須だと考えています。

中出匠哉さんと保科岳志さんの対談画像_2

ー そういった想いから、ベトナムを中心に海外拠点の設立や、Non-Japaneseメンバーの新卒採用を進めてこられたんですね。特に採用が加速したのは、2021年に保科さんがジョインして、グローバル採用部が立ち上がった頃でしょうか。

保科:そうですね。私の入社以前は、グローバル採用といっても、日本語で業務をすることを前提に、すでに一定の日本語スキルを持った海外大新卒エンジニアのみが、採用のターゲットでした。そういった状況から、日本語不問・現居住地不問での採用と受入体制をゼロから立ち上げるというミッションに魅力を感じて入社しました。

中出:このタイミングで、グローバル採用部の責任者として保科さんに来てもらえたのは、すごく良かったです。このポジションの人を採用するなら、何よりも「想い」のある人がいいと思っていました。採用だけではなく、マネーフォワードで世界中の人たちにどう活躍してもらうのかまで、考えて推進できる人がいいなと。保科さんは、面接の時から、そういった想いを話してくれて、迷わず「来て欲しい」と思いましたね。

グローバル採用チームと様々な国と地域出身のメンバーの画像

(この1年で、採用活動だけではなく、リロケーションやオンボーディングサポート、社内テキストや手続きの英語化、通翻訳サポート体制の構築、Prayer Room設置などを行ってきた)

2024年に向けた英語学習プログラムの進捗

ー 現在の具体的な取り組みについても、教えてください。大きなトピックは、ちょうど1年前に公表された「2024年度エンジニア組織の公用語英語化」ですが、このタイミングで決めたのは理由があったんでしょうか?

中出:遠くない未来に、社内のエンジニアはNon-Japaneseメンバーが過半数になるだろうという見通しがあって、マネーフォワードよりもグローバル化が進んでいる企業の方に、話を聞きにいったりしていたんです。その中で、やはり最初は英語でコミュニケーションを統一するのが良さそうだとなり、「いつかやるなら、もう今やりましょう」と決めました。

保科:決めたのは、ある日の普段と変わらないMTGでしたよね。辻さんもその場にいて「やりましょう!」と意思決定され、入社当初の私は「これがマネーフォワードのスピード感か」と鳥肌がたったのを覚えています。

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中出:エンジニア経営陣の中でも、「いつかはやらないと」という課題感は共有してたので、あとはタイミングの問題だけだったんですよね。

ー 私も公表を聞いた時は「ついに!」と「急に?」という両方の気持ちがあったんですが、エンジニアの皆さんの反応はどうでしたか?

中出:発表した当日は、色々質問が来たんですけど、思ったよりも反対などはなく、前向きに受け止めてくれた人が多かったです。

保科:その時点では、会社として英語学習の場を提供すると発表したものの、具体的な施策はまだ決まっていなくて、まさに考えながら走り出した状態でした。今は、英語教育を専門で担当するメンバーも入ってくれて、学習プログラムも始まっていますが、中出さんから見てどうですか? 上手くいっていること、そうでないことってありますか?

中出:正直、まだ判断は難しいですね。メンバーのTOEICの点数などは確実に伸びてきているものの、それだけで判断するのは適切ではないかなと思っています。

これから、その試金石になるだろうというトピックが2つあるんです。
ひとつ目は、マネーフォワードベトナムのEM(Engineer Manager)を1名、日本のVPoEとして迎えること。彼とのコミュニケーションは英語になるので、そこで幅広いメンバーが実際に業務で英語を使う場面が増えるはずです。

「日本語を話さないマネージャーの最初のひとり」って、本人にすごく苦しさがあると思うんですけど、マネーフォワードベトナムから来てもらえると、その辺りの期待値調整もできるし、数年後にマネーフォワードベトナムに戻った後も、ベトナムと日本を繋ぐ存在になってくれると思うんですよね。

ふたつ目は、2024年に先だって、今年の年末にいくつかの部署を完全に英語化することです。もともとメンバーが全員英語を話せて英語化しているチームはすでにあるんですが、そうではない人も含めて英語化するのは今回が初めてです。その結果を見てみて、振り返りができるかなと思います。 

保科:
いいですね。英語を学習することと、実際に業務で使うことにはどうしても壁があると思うので、自然な形で各チームが英語に切り替えられるようにしたいですね。

中出:そのために、英語しか話せないメンバーをバランスよくアサインしつつ、最初の方は通訳者の方にMTGのサポートに入ってもらおうと考えてます。

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「Let’s make it together!」国内外の拠点がフラットに繋がるエンジニア組織

中出:英語化と併せて重要なのは、グローバルでのエンジニア組織の統一です。こちらも2024年度末には、体制を整えていたいですね。

ー 具体的にはどういうイメージでしょうか?

中出:これまでも私たちは、オフショア的な立ち位置ではなく「一緒にモノづくりをする仲間」を世界に増やすために、海外拠点を開設してきました。実際に、VPoC(Culture)の金井さんが現地でオフィスデザインに携わったり、全社総会なども共同で行ってます。

ただ、今は、開発体制やレポートラインが、日本と海外で分かれてしまっているので、これを統一したいんです。事業部の下に、各拠点が対等に位置していて、例えば、『マネーフォワード クラウド会計』というひとつのプロダクトを、マイクロサービスごとに分けて開発しながらも、拠点を跨いだベストなメンバーでチームを作る。日本で働いているけど上司はハノイにいたりするような、そんなイメージです。リモートの難しさなどもあると思いますけど、世界中でベストなチームを組むことは、マネーフォワードにとってもエンジニアメンバーのキャリアにとっても非常にプラスだと思っています。

保科:「一緒にモノづくりをする仲間」を増やすっていうのは、すごくマネーフォワードらしいですよね。

中出:ベトナム出張の時にいいなと思ったのは、会議を「Let’s make it……」「 Together!」ってみんなで言って終えてるんですよね。どんな会議も笑顔で締めくくることで、一体感が生まれる文化が、自然と醸成されている。

「今日はTuck(中出さんの愛称)が声をかけてよ」って言われて、私もやってみて、ちょっと照れちゃったんですけど、すごくいいんですよ。
保科:めっちゃいいですね。さっそく逆輸入しましょう(笑)

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(「Let’s make it together!」で声を揃える二人)

英語化の先にある、活躍のための体制作り

ー 振り返りができるのはもう少し先、という話もありましたが、2024年に向けて順調に進んでる印象もあります。いかがでしょうか?

保科:いや、まだまだ、対応すべきことが沢山ありますね。

中出:これから、山のような苦難が待ち受けているんだろうと覚悟しています。

保科:まず大事なのは、Non-Japaneseメンバーの従業員体験、つまり働きやすさや活躍の機会を、Japaneseメンバーと同じレベルに担保すること。

「採用」→「オンボーディング」→「定着/活躍支援」という一般的な段階を、Non-Japaneseメンバーに当てはめると、ちょうど今は「採用」と「オンボーディング」を整えてきたところ。次は、世界中から集ってくれたメンバーが長期的に活躍できるように、評価や人員配置、文化のアップデートおよび浸透をどのように行うのかなどを、設計していかないといけないですね。

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中出:今は、入国してくれたメンバーのサーベイ満足度も高いですし、良くも悪くも大きな課題が表出していない状況です。でも、当事者だからこそ感じられるモヤモヤや、やりにくさはきっとあると思うので、そのままだと、数ヶ月後、数年後に歪みが生まれてしまうと思います。

まずは、そういった立場を理解するために、例えば、Japaneseのマネージャーは、Non-Japaneseの上長がいるチームで一度働いてみるのを、順番に経験するのもいいかなと思っています。

ー 言語以外にも、例えばマネジメントスタイルだったり、フィードバックの仕方ひとつを取ってみても、国や地域の文化によって違いがあると思いますし、それがミックスされた組織で、みんなが納得感をもって充実して働ける状況を整えないといけないんですね。

中出:そうですね。なので、グローバル組織のマネジメント経験を持つ方の採用も進めていますし、社内グレードの分布、特にハイレイヤーに占めるNon-JapaneseとJapaneseの割合が同じになる体制を作ることも、ひとつの指標として重要になると考えています。

保科:メンバーの声を聞きつつ、そういったデータも可視化しながら、これから出てくる課題に対応していかないといけませんね。

中出:あとは、もう少し後の話になりますが、エンジニア以外の組織の英語化をどう進めるのかも、模索中です。

モノづくりは、エンジニアだけでするわけではないので、当然他メンバーともコミュニケーションを取れるのが良いんですけど、日本でJapaneseメンバーとしか仕事をしない人もいるわけで。

保科:納得感や必要性がないままに、全員に英語化を押し進めるのも、マネーフォワードらしくないですよね。

中出:エンジニア組織のグロ―バル化を進める中で、私たちらしい全社の体制を考えていきましょう。英語教育を内製化しているので、そのノウハウは他の職種にも活かせるはずですしね。

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素晴らしい技術者は、圧倒的なサービスと大きな旗を掲げる会社に集まる

ー グローバル化と併せて、より技術力を高めていくという点では、どのようなことを考えておられますか?

中出:今、マネーフォワードが提供している価値を磨き広げ続けることと、その先のワクワクするような未来、つまり「大きな旗」を掲げること、この2つを考えています。

前者について、まずは、競合サービスとの機能比較のマルバツ表で、負けない状況を目指します。ここは、これまでの全社での頑張りもあって、プロダクトの完成度がとても上がってきていると思います。後者について、マルバツ表の戦いの外に出たときに、どんな未来を「大きな旗」として掲げるのか、それを考える想像力と準備が必要です。

ー その2つを同時に進めていくんですね。

中出:そうです。それを一緒に実現できる素晴らしいエンジニアに仲間になってもらうためにも、その分野で圧倒的にNo.1になり、「あなたが来てくれたら、さらにこういう未来を実現したいんだ」と、私たちが語れるようにならないといけない。

そのために、目の前の機能開発を進めて、少しづつでも世の中に新しい価値を提供し、Money Forward Labのような、研究組織を作ってアカデミックな人たちにもジョインしてもらっています。

保科:大きな旗と言えば、例えば、Googleなどテックカンパニー各社が次の10億人にインターネットを届けることを目指している「Next Billion Users」プロジェクトなどは、話を聞くと非常にワクワクしますよね。

中出:まさにそういった話ですね。最終的に、どんな社会を実現したいのかということを考えると、それこそ、スマートシティを作りたいというような話が社内でも出たりしますよね。キャッシュレスは当たり前、会計記帳なども自動で行われていて、税務申告も不要みたいな。

そういう、未来を実現する方向にどうシフトするかを、ずっと考えてるんです。そろそろ、そこに一定の社内リソースをかけていけるんじゃないかと。

という話ばっかりあんまりしてると、周りから怒られちゃうんですけど。

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ー 怒られちゃうんですね(笑)

中出:ちゃんと目の前のことも考えてるんですよ。

とにかく、まずは、グローバルテックジャイアントへの第1歩を踏み出すために、エンジニア組織の英語化をやりきります。

あとはエンジニアのリーダーの採用や育成を進めていく中で、私自身が、どう成長してそこに貢献していこうかなっていうことも、常々考えています。CTOを退任することがあっても、何らかの形でマネーフォワードに貢献し続けたいと思っているので、その時自分に足りない能力を身に着け、変化して活躍したいですね。

変えないのは「世の中を前に進め続けたい」という意思だけ。Googleの「Don't be evil」ではないですが、マネーフォワードも引き続き、利益至上主義や、周りを倒すみたいなことではなく、世の中の課題を解決していくってところにフォーカスしていきましょう。

保科:私も同じ気持ちです。引き続き、採用とメンバーが活躍できる仕組み作りを頑張ります。世界から見ると、まだまだマネーフォワードの知名度は高いとは言えないですが、より多くの人に知ってもらい、理解してもらい、入社して良かったと思える会社にすることが、私たちの役割ですね。

ー おふたりともありがとうございました。「グローバル化」「英語化」と言っても色々な進め方や形があると思いますが、今日のお話で、マネーフォワードの大事にしている姿勢や、目指す組織について、お伝えできたと思います。引き続き「Let’s make it together!」で、世の中を前に進めていきましょう!

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取材・文/苞山美香(マネーフォワード採用広報)

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