
マネーフォワードは、ベトナムに開発拠点(Money Forward Vietnam)を持ち、日本からも多くのメンバーが赴任し、グローバルな環境で活躍をしています。
今回は、ベトナム拠点の立ち上げや拠点長を経験し、今も現地で活躍している【2018年新卒 竹中 一将さん】にインタビューしました。
マネーフォワードでは新卒入社後にどんなチャンスがあるのか、海外開発拠点の変遷も交えてお伝えします。
竹中 一将|Takenaka Kazumasa
2016年 大学院で薬学 (機械学習を応用した創薬研究)を専攻
内定者インターン時に、ビジネス職からエンジニア職に職種変更
2018年 マネーフォワード新卒入社
金融機関向けサービスの開発を担当
2019年 Money Forward Vietnam ホーチミン拠点に異動
複数プロダクトの開発リーダーを担当
2021年 Money Forward Vietnam ハノイ拠点の立ち上げ責任者
2022年 Money Forward Vietnam ハノイ拠点 拠点長
2023年 Money Forward Vietnam テクニカルディレクター
ー まずは、マネーフォワードに入社した理由を教えてください。大学院では薬学を専攻されていたんですよね?
大学院では、機械学習の統計を活用した創薬研究を行っていました。ただ、将来のことを考えると、このまま研究者になるほど、この分野に情熱を持って向き合うのは難しいと思ったんです。そこから、経済に詳しい先輩の影響を受けて日経新聞を読むうちに、金融業界に興味が湧いて、金融業界に絞って就活をはじめました。
マネーフォワードは、Fintech企業も金融だし念のため見てみようか、というお試しのような気持ちで応募したんです。でも、面接でCFOの金坂さんとお話しして、すごく惹かれてしまって。お会いする前は「投資銀行出身のCFO」という肩書から、少しドライな人を想像してたんですが、実際はすごく気さくで情熱に溢れた人で、こういう人の近くで働きたいと思い、入社を決めました。
ー 金坂さんがきっかけだったんですね。それは意外でした。
実際に、まだ金坂さんと同じチームでは働けていないんですけどね(笑)
でも、マネーフォワードに入社して以来、本当に沢山の人のおかげで、自分のキャリアを切り開くことができました。最初の転機になったのは、内定者インターン中の職種変更です。ビジネス職で入社予定だったんですが、大学院で基本的なプログラミング経験があったこともあり、キャリアの選択肢を広げるならエンジニアに挑戦してみたらどうか、と周りの方からアドバイスをいただいたんです。そこから人事やCEOの辻さんにもご相談したら、やってみるといいよ、と背中を押してもらえて、思い切って職種変更することにしました。
もちろん、今から同期のエンジニアメンバーについていけるんだろうか? という不安もありましたし、実際に最初の方は全くついていけませんでした。ただ、そこはポジティブに捉えて「先輩から実務を通して、エンジニアリングを教えてもらえるなんて、なんてラッキーな環境だ。ここで必死に頑張らない手はないぞ」という気持ちで、臨んでいました。
最初に配属されたエックスカンパニーでは、金融機関向けサービスの、バックエンド・フロントエンド開発を担当し、多くのことを教えてくれたチームの先輩方には、本当に感謝しています。

ー そこから1年でMoney Forward Vietnamに行くことになったのはどうしてですか?
Money Forward Vietnamへの異動は、自分で希望しました。
もともと新規プロダクトの開発に関わってみたい、将来的にグローバルな環境で働いてみたい、と考えていたんですが、開設されたばかりのホーチミン拠点で開発をリードするエンジニアを求めていると聞いて、そこであればどちらの希望も叶うと思って、手を挙げたんです。
エンジニアになってまだ1年でしたし、技術的に海外で独り立ちできる自信があったわけではないんですが、少し強引にでも、自分がやるしかないという厳しくて困難な状況に身を置いて、自分を追い込みながら成長したいと考えていました。「まだ次のステージは早いかも」ではなく「ステージがあるなら上がってみよう」という感じですね。振り返ってみると、自分でも、よくこんな無茶な異動希望が出せたな、と思います。
ー ホーチミンに異動後は、どんな仕事をされていたんですか?
開発リーダーを任されることが多かったです。
最初の方は、チームも小さかったですし、僕自身もリーダーやマネジメント経験がなかったので、技術的に足りない部分は、全部自分ひとりでなんとかしようとしていました。でも、大きなチームを持つようになって、自分だけが頑張ってもどうにもならなくなり、すぐにチーム全体のレべルアップに向き合うことになりました。
取り組み自体は、すごく基本的なことです。例えば、コーディングにおけるデザインパターンの勉強会を開催したり、学ぶべきトピックをリストアップしてコンテンツリンクを作ったり。そういった技術指導以外にも、コードレビューの精度を上げる、ペアプログラミングを導入するなど、実務でも育成の視点を取り入れることで、徐々にチーム全体の技術レベルを上げていくことができました。

(ホーチミン拠点でのメンバーとのディスカッション)
ホーチミンでの2年半で一番成長したのは、チームとして成果を出す、というプロジェクトマネジメントの力だと思います。自分のタスクに向き合って開発していたところから、メンバーひとり一人の、プロジェクトに対する期待や技術レベルを知って、そこに見合ったタスクをお任せし、期限内にチームとしてプロジェクトを完了させる、という視点で動けるようになりました。
あとは、開発以外にも色々な業務を経験したいと思って、組織間の連携のための、日本のマネーフォワード ビジネスカンパニーとの会議にも参加させてもらうようになりました。そこで、グループ執行役員でもあるカンパニーCSOの山田さんや、VPoEの渋谷さんのようなボードメンバーと、Money Forward Vietnamの状況や課題についてディスカッションすることで、組織全体に目を向けられるようになったと思います。
僕は、目の前の課題を解決して、物事を前に進めたいタイプなんですが、自分の立場やスキルによって、見える課題は変わってくると思うんです。ボードメンバーの人たちと話していると、自然と「自分がボードメンバーだったら、この課題をどう解決するだろう?」と、考えるようになり、視座が引き上げられていったのかもしれません。

ー ホーチミンでは、エンジニアリングやマネジメントだけでなく、コーポレート的な業務などにも幅広く関わっていたんですよね。そこから、ハノイ拠点の立ち上げ責任者になった経緯も聞かせてください。
これも自分で手を挙げました。
日本のボードメンバーとの会議などを経験する中で、より幅広い仕事にもっと主体的に関わってみたいと考えるようになっていたんですが、そんな時に、ベトナムで新しい拠点を立ち上げると聞いて、挑戦してみたい、と思ったんです。
あとは、ホーチミンで開発をやってきて、「自分だったらこうするな」と思うことが沢山あって、改善すべきポイントや、もし自分が組織を作った場合のビジョンや戦略なんかを書き出したりしていたので、その仮説を試してみたい気持ちもありました。実際に自分でやってみないと、後からこうすべきだったなんていくらでも言えちゃいますし、机上の空論だと意味がないので。
実際に、今振り返ってみるとそもそも当時の自分の仮説が間違っていたり、やろうとしていてまだ実現できていないことが、沢山あります。これは、やってみないとわからなかったことですね。
ー 実際にハノイ拠点を立ち上げてみて、一番大変だったことは何ですか?
色々なフェーズで大変だったことはあったんですけど、一番は採用です。
ハノイの人たちにとっては、マネーフォワードは名前も聞いたことがない未知の日本の会社なので、当たり前なんですが、最初は全然採用が上手くいかなくて。
フロント、バックエンド、インフラ、QAなど全ポジションのジョブディスクリプション(求人票)を作ってひたすらスカウトメールを送ったり、面接に向けて採用資料を準備したり、最初の数ヶ月は、ほぼリクルーター業務に追われていました。プロジェクトの開発スケジュールは決まっているのに人がいないから進められない、という状況で、プレッシャーがものすごかったです。
1人目のメンバーを採用できた時は、本当に安心しましたし、入社してくれたメンバーが人を紹介してくれたりして、徐々に採用ができるようになってきました。でも、採用後も、オンボーディングの調整や、試用期間中の目標設定やコードレビューなど、メンバーが増えて組織になっていく中で対応しないといけないことがどんどん出てきて、ミスできないプレッシャーや、自分のマネジメント力の無さを痛感しました。
やっぱり、人に関することは難しいです。入居したオフィスを突然出て行かないといけなくなるなど、今思うとけっこう大きなトラブルが色々あったんですが、圧倒的に人に関することの方が大変でしたね。
良かったことは、初期段階でベトナム現地のマネージャーを採用し、その人に権限を移譲できたこと。僕より圧倒的に経験が豊富な、素晴らしいマネージャーがいて、僕もすごく勉強をさせてもらったし、うまく回ってるのも、その人のおかげだと思います。
苦労があった分、拠点の成長を実感できた時は本当にうれしかったです。
ベトナムの旧正月「テト」のタイミング(2月)に、拠点開設1年のお疲れ様会をやりました。バックオフィスチームが、オープニングムービーを作ってくれたんですが、最初のすごく小さくて寒い仮オフィスの写真から、移転した今のオフィスでみんなで仕事しているシーンまで、そのムービーを見た時は頑張ってきてよかったと思いましたね。
今、ハノイ拠点は、僕が異動してきた時のホーチミン拠点よりも大きな組織になっていて、この2年間は本当にあっという間でした。「仮説を試してみたい」なんてスマートなことを言いましたが、実際は泥臭いことばかりで、必死にもがいて今という感じですね。

(ハノイ拠点のオープニングイベント)
ー 拠点の立ち上げが落ち着いた後、今はどんな仕事をしているんですか?
少し前までは、「ハノイ開発拠点長」だったんですが、実はもう拠点長というポジション自体を無くしてしまったんです。立ち上げ当初は、拠点でスピード感を持って意思決定していくことが大事だったんですが、今は個別のスピードよりも、拠点の垣根なくMoney Forward Vietnam全体で最適な意思決定をしていくべきフェーズなので、僕から無くした方がいい、と提案しました。
今は、通常の開発の他に、Money Forward Vietnam全体の技術改善を牽引する、テクニカルディレクターという役割を担っています。具体的には、プロダクトの運用レベルの引き上げや改善、技術的なグッドプラクティスの確立と横展開などをしていくポジションですね。
拠点長のポジションを無くすと決めた時に、当時Money Forward VietnamのVPoEだった丸山さんが、次のチャレンジとしてテクニカルディレクターを提案してくれたんです。もともと、技術・運用面で組織のトップラインを底上げするアクションは必要だと感じていたんですが、言われてみれば確かに、プロダクトやチームのマネージャーとは別で、技術をリードするマネージャーとしてこの役割を果たせれば組織にとってもプラスだし、僕自身もまた新しく成長できると思いました。

ー 組織を作るところから、今度は技術をリードする役割になられるんですね。これまでを振り返ってみて、どんなところが一番成長されたと思いますか?
これまでのMoney Forward Vietnamでの全ての経験を通じて、技術力がすごく上がったと感じています。だから、テクニカルディレクターにも、チャレンジしてみようと思えたのかなと。
技術力とひとことで言っても、言語のスペシャリストやテックリードなど、色々な方向性があると思います。僕の場合は「システムの全体設計」という面が、すごく成長しました。
マネーフォワードが作っているプロダクトは、昔よりも大規模化して機能も複雑になっているので、設計においては、個々のプロダクトはもちろんプロダクト同士をどう連携させるかの設計も重要です。そういった意味では、より幅広い視野でプロダクト群を見られるようになり、ビジネス的にやりたいことを技術的にどう実現するかといった、抽象度の高い課題に対する技術的な打ち手を考えなければいけない。その部分の力を伸ばすことがことができたと考えています。
課題に対して仮説を持つだけでなく、それを実践する機会をこれまで沢山もらいました。 うまくいかなかったことも含めて、仮説を経験に変えることができたのは、まだ未熟な僕を信じて支えて、チャレンジさせてくれた人たちのおかげです。

(ハノイ拠点立ち上げ間もない頃。メンバーたちと)
ー これからの目標について教えてください。
まずは、テクニカルディレクターとして、引き続きプロダクトの運用レベル、安定性を引き上げていきたいと思います。Money Forward Vietnamで開発した新規プロダクトも、沢山のユーザー様にご利用いただけるフェーズまで成長してきたので、プロダクトの安定性はこれまで以上に重要です。運用レベルをどんどん引き上げていって、技術的な改善を横展開していこうと思います。
また、日本とベトナムはもっと情報や技術の連携を進められると思っています。そのためには相互の協力が必要で、僕はベトナムと日本の間の、ちょうど良いポジションにいると思うので、両者を繋ぐブリッジになって連携を推進していきたいです。
もう少し長期的な視点だと、これは個人的な野望なんですが、今現在、Money Forward Vietnamは、あくまで海外の開発拠点という立ち位置ですが、アジア向けのプロダクトを持つアジア拠点に成長させたいです。
今、マネーフォワードのIR資料を見ると、売上高などの各情報が、BusinessドメインやHomeドメインなど、ドメイン毎に公開されていますよね。一方、グローバル企業のIR資料を見ると、アジア太平洋リージョン、 日本リージョンみたいに分かれていて、マネーフォワードでもこういう状態を目指したいと考えています。事業をアジアにも展開して、新たにPMF(Product Market Fit)を進めていくことを考えると、ワクワクしますよね。
個人のキャリアに関しては、例えば「35歳になったらこうなっていたい」みたいなビジョンは、実はあまり持っていないんです。これまでも、今の自分がやれること、やるべきこと、ワクワクすることをやっていこうという思いで、ずっとやってきています。これからも、今の自分よりも少し高いステージでそれを見つけるのが、泥臭いしつらいこともあるけど、楽しいのかなと思っています。
それこそ、テクニカルディレクターにはまだ就任したばかりなので、僕に出来ることは未知数です。こういった新しいチャレンジを、これからも続けていきたいですね。

取材・文/苞山美香(マネーフォワード採用広報)