【連載】マネフォと私の10年|開発のど真ん中から組織づくりを担う立場へ。「なんとかしたい」を原動力に、こぼれおちるボールを拾っていく。 

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みなさんは「同じ会社で長く働くこと」について、どのようなイメージをお持ちでしょうか。 転職もあたり前になりつつある今、ひとつの会社で5年10年と働き続けることを、そこまで意識していない方も多いかもしれません。

「【連載】マネフォとわたしの10年」は、マネーフォワードに入社して10年をむかえるメンバーの、これまでのチャレンジやこれからに対する思いについてお届けします。
今回お話を伺ったのは、渋谷亮さん。当社のグループ執行役員であり、マネーフォワードビジネスカンパニーでVPoE(Vice President of Engineering)を務めています。

エンジニアとして創業期のプロダクト開発に携わり、今はエンジニアが活躍できる組織づくりに取り組む渋谷さん。どのような10年を歩んできたのでしょうか。

CEOの「押しの強さ」が入社のきっかけ

ーまずは、渋谷さんのお仕事についてお伺いしたいです。

渋谷:マネーフォワードビジネスカンパニーのVPoEとして、組織の課題解決に取り組んでいます。プロダクト開発やその他の横断プロジェクトにも関わっているので、一言で説明しづらいですが、色々やっている人です。

ー渋谷さんがマネーフォワードに入社された経緯を教えてください。

渋谷: マネーフォワードに入社する前は、GREEという会社で広告のエンジニアをしていました。一人目広告エンジニアとして入社をし、チームをつくった後、組織ごと子会社に分離したんです。子会社という新しい組織をつくって、さらに広告事業を立ち上げるというプロジェクトが自分にとって面白い体験だったので、ちいさな会社で裁量をもって働きたいと思い、ベンチャー企業を探していました。

そんな時、GREEからマネーフォワードに転職した知り合いが「オフィスにおいでよ」と誘ってくれて、当時のマネーフォワードのオフィスに遊びにいく機会がありました。そこで案内された部屋に向かったら、CEOの辻さんがいたんです。
辻さんはいい意味で社長っぽさがなく、フレンドリーだし、面白い人だなと思って色々と雑談していたら、「で、いつから来ますか」と言われました(笑)。

ーいつの間にか採用の話に。創業期らしいエピソードですね。

渋谷:さすがにその時は「ちょっと考えます」と伝えました。それが2014年の1月末ぐらいだったと思いますが、結果的に、半年後に入社しましたね。

ーいざ転職しようと思うに至るまでに、何があったのでしょうか。

渋谷:オフィスに遊びにいった後、当時のCTO(Chief Technology Officer)やCISO(Chief Information Security Officer)の方など、中の人と話す機会が何度かありましたね。それに、辻さんが2ヶ月に1度くらいの頻度で「そろそろどうでしょう」、「うちに来ませんか」と連絡をくれたんです。

自分は押しに弱いタイプでして(笑)。最後はもちろん自分で決断しましたが、「来てください」と何度もプッシュしてもらえたことは後押しになったと思います。

渋谷:ちなみに、当時は『マネーフォワード クラウド請求書』がリリースされたばかりのタイミングでした。
私は『マネーフォワード ME』の広告面の開発を担当する想定だったのですが、入社初日のお昼ぐらいのタイミングで、辻さんから『マネーフォワード クラウド 請求書』の開発をやってほしいとお願いされまして(笑)。その後10年『マネーフォワード クラウド』に関わり、今に至ります。

ーなんともめまぐるしい入社日ですね……!

スピード感こそ全て。カオスな超少人数でのプロダクト開発

ー当時のマネーフォワードの状況を教えて下さい。

渋谷:何も揃っていなかったです。まずPCのキーボードが中古でした。iMacはありましたが、キーボードがWindowsという状況だったので、入社初日にAmazonでMacのキーボードを買った記憶があります。
当然Slackもなかったですね。まだSkypeで仕事していたんじゃないかな……。あとはやっぱり、ハードワークな環境でしたね。

ー特に記憶に残っているチャレンジや、プロジェクトはありますか。

渋谷:『マネーフォワード クラウド給与』ですかね。一時期、少人数でとにかくプロダクトを作り続けていた時期があって、それはそれはカオスな時代だったのですが、記憶が美化されていい思い出になっています(笑)。

2014年の12月くらいに、『マネーフォワード クラウド給与』を開発することが決まったんです。辻さんからは、リリースは3月にしようという話があり、そこから自分も含めて4人ぐらいでつくりはじめました。

ー開発期間が3ヶ月。

渋谷:そうです。機能を絞りに絞って、いち早くリリースしようという状況でした。バックオフィスSaaSという市場がうまれはじめた時期だったので、プロダクトリリースこそが最優先。あの頃、カオスな状況ながらも『マネーフォワード クラウド給与』をリリースしたからこそ、いま多くのユーザーにご利用いただけていると考えています。

 リリースが迫っている中でチームメンバー全員がインフルエンザにかかり、1週間ぐらい進捗が止まった事件もありました。そういうことも含めて楽しかったなと。やっぱり思い出が美化されてますよね、これ(笑)。

何もしていなかった「副〇〇長」としての自分を変えた、本部長の役職

ー10年マネーフォワードで働く中で、ご自身にとってターニングポイントになった機会はありましたか。

渋谷:開発本部の本部長になった時かもしれません。当時、「MFクラウド開発本部」という組織がありまして、『マネーフォワード クラウド』の開発に関わるエンジニアが全員所属していました。本部長が山田さん(現グループ執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニーCSO)で、僕が副本部長だった時期がしばらくありましたが、山田さんが別のプロジェクトを担当するからという理由で、僕が本部長になりました。

それまでは『マネーフォワード クラウド給与』の開発におけるチームリーダーや、「副〇〇長」のようなポジションは経験していましたが、組織全体を見ていく立場になったのはそれが初めてでした。

ーはじめて組織のトップに立つ経験をされたんですね。

渋谷:はい。「副〇〇長」時代は、 課題を発見することが多かったように思うのですが、本部長になってからは課題解決の割合が大きくなって、そこで自分の考え方や仕事の仕方が大きく変わった気がします。

後に、とある飲み会で、山田さんから「渋谷さん、副本部長の時何もしてませんでしたもんね!」と言われたんですよ(笑)。それくらい、組織運営や本部運営という観点ではそれまで何もしていなかったんだと思います。本部長になって必要性に迫られて、何をすべきかがようやく理解できたというか。

ーエンジニアの世界だと、スペシャリスト志向の方も多い印象がありますが、渋谷さんはメンバーやチームをマネジメントしていく立場を任されることには前向きだったのでしょうか。

渋谷:積極的に手を挙げるタイプではないと思いますが、自分は制限なくやることを変えていける方がストレスなく働けると思っています。

逆に、「これは良くないな」という組織の課題感を変えられないことにストレスを感じてしまうんですよ。例えば制度に課題があれば制度を変える議論に入りたいし、組織文化に課題があればその議論に入りたい。色々な課題を解決していける立場が自分に合っていて、その結果としてマネジメントをしている、という認識です。

1つの会社で長く働く醍醐味は、意思決定の答え合わせができること

ー創業期のカオスな開発も、組織を束ねるトップとしてのマネジメントも経験された渋谷さんにとって、同じ会社で長く働くことの醍醐味は何でしょうか。

渋谷:自分の意思決定の答え合わせができること、かな。プロジェクトのリリースという点では、3ヶ月〜1年単位で終わるものもたくさんありますが、 例えば「当時考えたアーキテクチャは本当に正しかったのかどうか」は、3年とか5年くらい経たないとわからないんですよね。

今の『マネーフォワード クラウド給与』には、昔の開発のコアにあった設計思想が今も残っているんです。当時の考え方が、今の開発にも影響を与えているんだな、と捉えています。

ー確かに、そういったことは1〜2年というスパンでは検証できないですね。

渋谷:そうですね。昔やったことや、正解がない中で意思決定した何かが、その後の会社や組織、人にどんな影響を与えて、総合的に見て良かったのか悪かったのかを答え合わせできることは、同じ会社で長く働くことの強みだと思います。
他社事例や他社の色々な正解を、身をもって理解しづらいというデメリットは、裏表としてはありますけどね。

ただ、私の場合は、今と同じような役職で他社へうつったとしてもすぐに結果を出せないと思います。会社や組織の歴史、プロダクトの経緯、環境や今の状況……そういったものに対する解像度が高い方が、パフォーマンスが出やすいタイプだと自己分析しているんです。

ーありがとうございます。その上で、渋谷さんが10年マネーフォワードを選び続けてきた理由を伺ってみたいです。

渋谷:ちゃんと言語化はできていないのですが……。この会社がやることや前提が、どんどん変わっているのが大きな理由だとは思います。会社として取り組むべき課題と、自分がまだ解決できていないことが一致しているというか。

でも、他社で同じようなことをしたいかと言われると、今はそうも思えないんです。長く働いたし、間違いなく会社に愛着はあります。

ー渋谷さんが今後取り組んでいきたいことはありますか。

渋谷:なんでしょう……。これがやりたい! というものはないんですが、やりたくないこと、なりたくないものはクリアです。

自分が組織のキャップになったり、ボトルネックになったり、組織の新陳代謝を阻害してしまう存在になるのは避けたい。

VPoEの役職を、ちゃんと次の世代に渡していけるようにならなくちゃ、とはよく考えますね。やりたい人がいるならどんどんお任せしていきたいです。

ー今日お話を伺って、自分が気になったことは解決したいという思いが強い方だなという印象を受けました。

渋谷:私は、自分の手で、ゼロからすごい世界がつくれるとは思っていません。

逆に、中出さん(現取締役 グループ執行役員CTO)は、やりたいことを、どんどん意思決定して前に進めていくタイプだと思っています。その分、現場には色々なボールがこぼれていくのですが、それを何とかするのが自分なのかも。

会社はバランスだと思っていて、どんどん前に進めていく人も、それを形にしていく人もどちらも必要です。自分は強いトップになるタイプではありませんが、落ちているボールを拾って、課題を明確にして、解決していきたい。引き続き「なんとかしたい」と思うことに取り組めたらうれしいなと思います。

取材・文・写真/松沢美月(マネーフォワード Corporate Identity推進室)

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