
マネーフォワードで社内で「ぜひこの人の話を聞いてみたい」と推薦されたメンバーにインタビューします。
今回は、エンジニアの佐々木 邪馬斗さんにお話を伺いました。
【推薦コメント】
邪馬斗さんは2023年1月〜3月にCulture Heroの「Speed」を受賞されていますが、業務における迅速な対応のみならずその精神に「Fairness」が宿っている、と言葉を交わしていて感じます。
マネーフォワードも次第に大所帯となり、2,000人以上のメンバーが働く大企業へと成長していくなかで、本社オフィスの総務・庶務業務を担当する私たちとしては、オフィスの使い方についてさまざまな考えや意見があるため「みんなが気持ちよく使えるオフィス」に近づけるにはかなり考えさせられるものがあります。
彼はtimesなどで意見を寄せてくれることがあるのですが、多角的に物事を見て、俯瞰した思考に日々助けられています。いつもありがとう。
People Forward本部 ビジネスサポート部 山田葉月さん
新卒でマネーフォワードに入社し、3年半が経ちました。
両親の都合で子どもの頃にアメリカに移住し、大学までアメリカで過ごしていたんです。
就職のタイミングで、特に日本での就職にこだわっていたわけではなく、両方で会社を探していました。
そもそも、大学の専攻を決める際、すごくやりたいことや夢があるわけではありませんでした。
ただ、アメリカに移住してからパソコンに向かう時間が多くなり、使い方は分かるけれど、それがどうやって動くのかはわからない、だから学んでみたい、と思ったことがコンピューターサイエンスを選んだきっかけでした。
学びはじめてみたらすごく面白くて、働くならコードを書く仕事がしたいな、と思うようになったんです。
僕は就活に際して「エンジニア」「英語」「日本語」と三つの軸を置いていたんですが、アメリカで就職するとなると「日本語」が武器にならないことの方が多く、それなら日本で就職をすれば、三つの軸の全てが活かせる、と思いました。
マネーフォワードの選考で、ここでなら「彼は海外生活をしていたから」といったバイアスで見られるのではなく、人としてのコミュニケーションができそうだ、と思えたことも決め手になりました。

僕は、日本とアメリカ、という文化の違う二つの国で生活するなかで、その状況でしか起きない課題やできごとに直面してきました。
例えば、日本で暮らしていると、日常的に触れる通貨は「円」だけですが、僕の場合は、アメリカにいるときは「ドル」を、日本に行くときは「円」を使うことになる。
高校生の頃に『マネーフォワード ME』を使ってみたことがあったんですが、当然ながら日本向けの円がベースのアプリなので、ドルベースで生活している僕は、メリットを十分に享受できませんでした。これは特殊なケースかもしれませんが、せっかくいいアプリなのに、もったいないな、と感じたんです。
そういう体験をしているのは僕の強みだし、コードを学んだから、作る側としてそれを解決することに携われたら、と思いました。
入社からずっとCTO室で、社内の技術的負債の解消や、ログイン基盤の開発に取り組んでいます。縁の下の力持ち、みたいなポジションですね。
サービス開発の阻害をする要因を取り除き、問題を解消します。
僕の仕事は「何かが(大きく)変わった、と感じさせないこと」が成功の条件なので、ユーザーに直接的な何かを感じてもらえる仕事ではありません。でも、ユーザーに負を感じさせずに、さりげなく使いやすさを向上させる、というのは結構難しい仕事だと思っています。
僕の根本的な思考として「特別にならなくていい」という思いがあります。
会社の中で自分の評価を高めるために、これは自分にしかできない、という仕事を増やすことで価値を高める、という考え方もあります。
でも、自分しかできないことを各々がたくさん持っている、というのは組織にとってはいいことではないと考えているんです。例えば、僕になにかあったときに、誰もそれが代わりにできない、という状況になってしまったら困りますよね。
一人ひとりが、自分にしかできないことを増やしていくというのは、汎用性がないんです。

それに例えば、スキルがある人に依存した属人的な仕事があると、その人はいつまでも手が空かず、新しいことに挑戦できません。
それは誰にとっても言えることで、常にみんなが新しい挑戦をして、チームとして成長するために、業務は流動的に渡していく必要があると思っています。
だから、それまで上長がやっていた仕事を自分が引き継ぐようなときには、文書のマニュアルを作成し、次の担当に渡すための流れを作ることを意識しています。
自分にしかできないことがある方が強い、という考えにおいては、自分の仕事をみんなができるようになってしまうと評価されないのでは、と感じる人もいるかもしれません。
でも、他人に教えることができるレベルでその仕事を理解している、ということは、自分が一番速くそれができる、ということ。それは十分に評価に値することですよね。
コミュニケーションで意識しているのは、伝え方、受け取り方の両方に気を付ける、ということ。それは「Fairness」に通じる考えかもしれません。
やりとりのなかで、適切な意見が伝わらず、誤解が生まれてしまうのはもったいないと思います。
なので、例えば何かに対して「それは違うと思う」という意見を伝える場合、まずは相手の見解に理解を示した上で、自分が感じている懸念点を伝えます。ただ単に反対意見を伝えるのではなく、意見をくれてありがとう、という気持ちを伝えられる工夫はしたいんです。
受け取り方に関しても同様です。
誰かの発言に対して、どうしてこんな厳しい言い方をするんだろう、と思ったときでも、言葉の表面だけを見て感じることと、相手の意図は違うかもしれない、と考えるようにしています。

コミュニケーションというのは双方向のものです。
伝える側にだけ責任を押し付けるのではなく、受け取る側としても「もしかしたらこういうことを言いたいのかもしれない」と、なるべくいろいろな可能性を考えてみる必要があると思います。
これは最近のエンジニア組織の英語化のなかでも感じています。日本語にも英語にも、相手に失礼になる言い回しや表現がありますが、それを知らずに使ってしまったときに、言われた側が何も言わないと、発言した側はただの失礼な人、になってしまいます。
なので、失礼な人だな、と思う前に、「今の発言はこういう意図だよね?」と聞いてみるんです。
そういう受け取る側の努力って、すごく大切だと思います。
それに、その相互の努力こそが「Respect」ですよね。
意見が食い違うことは当然起こりうることですが、意見の相違があっても、相手を気遣う気持ちや人として尊重する心を持つようにする。
相手の伝え方が自分にとって不愉快だったり、悲しい気持ちになるものだったとしても、言葉にとらわれて、この人はダメな人だ、と決めつけるのではなく、もしかしたらこういうことを伝えたいのかな、と考えれば、自分が気づかなかった思わぬフィードバックをもらえるかもしれないからです。
会社のカルチャーというのは、メンバーひとり一人が意識し、体現するものだと思っています。
しかし、僕の場合は、カルチャーに対して個人としてどうしていきたいか、というよりも、こういう会社であって欲しい、という願望に近い想いがあります。
僕はマネーフォワードが、本質的なコミュニケーションや物事にフォーカスできる会社であって欲しいんです。
それぞれが議論やコミュニケーションの本質を考えることを意識していれば、やるべきことに集中できるし、議論が前に進み、自分たちのためにもユーザーのためにもなる。
コミュニケーションのすれ違いが原因で、時間のロスや機会損失が起きてしまったり、内部的なコミュニケーションの不安にとらわれて、ポテンシャルが発揮できないのはすごくもったいないことです。

その意味で、入社したばかりのころ、結構困った経験がありました。
新卒で入社したので、そもそもエンジニアとしての知識も足りなかったし、本番環境でユーザーに提供するレベルのコードを書いた経験もない。周りはみんな忙しい先輩たちばかりだし、誰が何を知っているのかもわからず、どうコミュニケーションを取ればいいのかわからなかったんです。
日本はコミュニケーションがハイコンテクストですよね。なんとなく暗黙の了解で進んでいることがたくさんあるし、僕は日本語も喋れますが、最初は「頭出し」とか「壁打ち」「決めの問題」という仕事における独特の表現も意味がよくわからなくて困りました。
そういう一つひとつのことを知っていくためには、自分からコミュニケーションをとって聞きにいくしかないんですよね。
でも、入社したのがちょうどコロナ禍が始まったころで、それまでと比べると圧倒的に会社の人たちとのコミュニケーションが少なくなってしまったタイミングでした。
物理的なコミュニケーションが持てないから、メンバーのことを理解するのが難しい。でも、仕事では自分よりもすごく立場が上の人に話しかけないといけない。
心理的安全性が非常に低い状態で、そういったことをしなければならないのはとても大変でした。
ちょうどそのころ、Slackでtimes(個人が開設する呟き用のチャンネル)文化が活発になってきていたので、僕もtimesを開設したり、いろいろなメンバーのtimesチャンネルを見に行ってコメントしてみたりして、徐々にお互いのことを知っていくことができました。
自分も自己開示をして、相手のことも知って、それができたから、入社時点で感じていたコミュニケーションの難しさを乗り越えることができたと思います。
コミュニケーションの話に関連して、今社内で英語化が進んでいますよね。
僕のチームが一番最初に英語化がスタートしたんですが、当初は自分が一番喋れる状態でした。
でも、自分だけが英語を喋れればいい、というわけではないんです。
そもそもコミュニケーションって、自分一人だけではできません。二人以上の人間がいて、初めて成り立つものなので、相手にちゃんと伝わっていなければ、いくら自分が英語を喋れても全く意味がない。
だから、英語を勉強中のメンバーや、ネイティブではないメンバーと英語で会話をするときは、同じ意味のフレーズを二回繰り返して、ちゃんと伝わっているかどうかを確認します。
他にも、英語を勉強中のメンバーの発言が「きっとこういうことが言いたいのだろうと思うけど、その言い方だと間違って伝わってしまうかもしれない」という場合に、その表現は間違ってますよ、という伝え方をしてしまうと、相手は間違いを恐れて英語が嫌いになってしまうかもしれない。
だから、その人の真意が伝わる言い方でリフレーズして、つまりこういうことですよね、といった感じで伝えるんです。

コミュニケーションにおいてそういうサポーティブなアクションを心がけることは、英語が喋れる人間の義務だと思っています。
アメリカに移住した最初のころ、当然僕は英語が喋れず、でもアメリカの人はそういうことを斟酌してくれないので、すごく大変でした。
その経験があるから僕は、頑張って英語を学んでいる人には、自分の持っている力を活かしてフィードバックしたり、フォローしたりする。
それが相手に対するリスペクトだと思うからです。
自分には余裕がある分、周りをフォローしてコミュニケーションを生み出していくことには、大きな意味があると信じています。どの言語を使うかは関係なく、相手に自分の思いが伝わることって、すごく嬉しいことじゃないですか?
だから僕は、日本語も英語も両方喋れるからこそ、それを活かしてチームがうまくやっていけるようにすることが役割だと考えています。
海外生活で苦労をしたからこそ見えるものがあって、それをサービスの改善に活かしたい、という思いもそうなんですが、自分が経験したことのすべてにちゃんと意味があると思いたいんですよね。
そうやって、みんながハッピーでいられる状態を作っていくことができれば、と思っています。

取材・文・写真/新田大航(マネーフォワード 採用広報)